12月講演会

早いもので12月も中旬に入りましたね。

11日と12日にそれぞれ製薬会社の社内勉強会の講師として呼んでいただき、1時間の講演を行ってきました。

11日は「大学での研究活動」という演題でリクエストをいただき、話をしてきました。

「研究」をすること、このことは大学の教員として勤めるものが携わるべきことの1つだと思います。

研究といっても、分子レベルの基礎研究から疫学データを用いた調査、一症例を掘り下げていくような症例報告、新しい技術や方法を探る研究など様々な研究があります。それぞれの部署や科により得意分野が違い、研究スタイルも違っていると思いますが、新しいエビデンスの構築とそれを社会に還元していくという目的は一致しているかと思います。

当科では分子・細胞レベルの基礎研究と患者さんを集団としてデータを得て統計解析を行う臨床研究を柱とし、基礎研究と臨床研究の両面から疾患の病態生理の解明や新たなエビデンスを世界に発信できるようにみんなで頑張っています。また、僕がカナダの留学で得た遺伝子改変マウスの知識を生かして最近では動物実験もスタートさせました。

毎年、当科から出る論文の数も増え、今年も4人の大学院生が学位(医学博士)を取得する予定になっています。

医師として医療に携わることに必ずしも研究活動は必要はなく、学位を持っていようが質の高い実験をしていようが日常診療にあまり関係ないように思われるかもしれません。実際に、給料が上がるわけでもないですし、研究活動をしていなくても有名になる先生もおられます。

でも一方で、研究活動をしていることによって日常の診療に生かせる情報や考え方などのメリットもあります。僕自身は若い人たちには一度は研究活動に携わり、どのようにしてエビデンスやガイドラインが作られるのか、などのことを理解することは、長い医師人生を歩んでいくことにプラスになるんじゃないかと思っています。

また、講演では海外留学のことについても触れさせていただきました。

最近は留学を志す若い人たちが減ったとも言われています。しかし、留学をすることによって得ることも多くあります。また、機会があれば是非僕の留学経験などを若い人たちにも伝えていきたいと思っています。

12日は糖尿病治療薬の変遷というタイトルで話をしてきました。

医学の分野でもいろんな研究スキルが発展し、今まで時間のかかっていたような実験でも効率よく行えるようになってきています。それに伴い、新たな治療薬が次々に開発され、近年では糖尿病治療の選択肢もかなり増えてきました。

しかし、古くからある薬剤も長期使用経験やその安全性などから、もちろんこれからも使用されていくと思います。したがって、新薬の単独の効果・安全性も大切ですが、併用治療についてどう考えるのかということも大事になってくると思います。

治療薬の選択肢が増えるということは良いことだと思いますが、自分の専門でない分野が複雑になればその患者さんを敬遠したり、治療がおろそかになってしまったりする可能性もあるかと思います。

そうならないように、専門医や製薬会社のMRさんたちの情報提供という仕事は非常に重要なことだと思います。

現在の糖尿病治療の考え方や方法などを多くの方々に知っていただくために、これからも最新の知識を得てそれを咀嚼し、わかりやすく伝えられるように努力していきたいと思います。

金沢一平 糖尿病と骨粗しょう症専門医からの提案