第110回日本内科学会総会・講演会

4月13日土曜日

東京国際フォーラムにて第110回内科学会総会が開催され、発表を行ってきました。

75g経口糖負荷試験を用いた血糖値上昇と動脈硬化指標との関連性の検討

~負荷後血糖上昇は古典的動脈硬化リスク因子とは独立した動脈硬化増悪因子である~

本研究は田中賢一郎先生がデータをまとめてくれた研究で、昨年の糖尿病中国四国地方会でYIAを受賞した研究です。今回はさらに詳細な検討を追加して、よりバージョンアップした内容にしての発表です。

近年、食後高血糖が動脈硬化危険因子であることが認知されてきています。このことはいくつかの大規模研究にて確認されてきております。

本研究は、耐糖能異常の検査で行われる75g経口糖負荷試験(OGTT)と動脈硬化指標である頸動脈超音波による内膜中膜厚保肥厚(IMT)との関連性を検討することにより、血糖上昇と動脈硬化との関連性をより詳細に検討した研究です。

OGTT後60分での血糖値が最もよくIMTと相関を認め、この関係性は年齢、脂質や血圧などにて補正しても有意な関連性が認められました。さらに、ROC解析にてOGTT後60分の血糖値が190-200mg/dL以上であれば動脈硬化の存在が疑われることが明らかとなりました。

つまり、

1.75gグルコース(糖)を経口摂取した後の血糖上昇が動脈硬化増悪と関連している

2.食後血糖上昇を抑えることは動脈硬化予防に重要である

3.OGTTは通常は耐糖能異常の検査として行われるが、動脈硬化の有無の検査としても応用可能

4.負荷後60値が190-200を超えるようであればすでに動脈硬化が起こってきている可能性がある

ということが言えるかと考えています。

OGTTは古くから行われている検査ですが、以外とこのような解析をして報告している研究が少なく、興味深い結果が得られたのではないかと思っています。

現在論文投稿中であり、acceptされればまた報告させていただきたいと思います。

金沢一平 糖尿病と骨粗しょう症専門医からの提案