CLINIC magazineに寄稿しました

かかりつけ医が知っておきたい骨粗鬆症

生活習慣病と骨粗鬆症

明日を創る医療総合誌CLINIC magazine 625: 22-26, 2021

 超高齢社会を迎えた我が国において、高齢者の健康寿命を延ばし、社会で活躍できるような環境を作ることは喫緊の課題です。骨粗鬆症による骨折は、要介護や寝たきりの原因として重要なのはご存じだと思います。医学の発展により、骨粗鬆症による骨折は予防可能となりました。しかし、まだまだ骨粗鬆症診療が広まってるとは言い難いのが現状です。したがって、骨粗鬆症診療を拡充するためには、様々な診療科の医師および多職種が骨粗鬆症の重要性を認識することが重要です。

エール君
エール君

多職種が一緒になって取り組む必要がありますね

これまでのエビデンスの蓄積におり、骨粗鬆症と生活習慣病には密接な関連性があることが明らかとなりました。骨粗鬆症と同様に生活習慣病は加齢とともに増加する疾患ですが、高齢化が進む我が国では両者を併発する患者はますます増加することは容易に予想できます。

生活習慣病のなかでも、特に2型糖尿病、慢性腎臓病(chronic kidney disease: CKD)、慢性閉塞性肺疾患(chronic obstructive pulmonary disease: COPD)では骨折リスクが高いことが明らかになっています。糖尿病やCKD、COPDは主に内科かかりつけ医が診療を行っていると思いますが、内科医師も骨粗鬆症診療について知っておくべき時代がきているのです。

骨粗鬆症は骨強度の低下により、骨折しやすくなる骨格疾患と定義されています。骨強度は骨量と骨質の総和ですが、生活習慣病では骨密度(bone mineral density: BMD)の低下よりも骨質劣化が重要な病態と考えられています。やせが骨粗鬆症のリスクであることは古くからよく知られていますが、生活習慣病の基盤となる肥満も骨質劣化を介して骨折リスクを上昇させると報告されています。各生活習慣病の病態はそれぞれ異なるため、疾患ごとの対策が望ましいのですが、共通する因子として酸化ストレスや慢性炎症があり、これらは骨代謝にも負に影響することが知られています。

エール君
エール君

量も大事ですが質も大事ですね

金沢一平 糖尿病と骨粗しょう症専門医からの提案