12月22日
Diabetes Journal 40周年記念講演会に参加してきました。
1973年より協和企画が発行するDiabetes Journalは伝統ある雑誌で、日本の糖尿病領域でもかなりご高名な先生方が歴代の編集長をされています。
今回は40周年を祝う会ということで、
・旭川医科大学の羽田勝計先生がOpening Remarksを務め、
・愛知医科大学の中村二郎先生が座長で、労働者健康福祉機構中部ろうさい病院の堀田にぎし先生が「糖尿病治療の歴史」
・熊本大学の荒木栄一先生が座長で、国立国際医療研究センターの春日雅人先生が「インスリンの作用機序と糖尿病の病因」
・順天堂大学の綿田裕孝先生が座長で、順天堂大学の河盛隆造先生が「インスリンとグルカゴンからみた糖尿病の病態と治療」
・大阪医科大学の花房俊昭先生が座長で、関西電力病院の清野裕先生が「糖尿病治療の現状と将来展望」
・最後に東京大学の門脇孝先生がClosing Remarksをされ、
かなりの超豪華メンバーが集まり、糖尿病の歴史から病態の解明、そして将来への期待ということを中心にお話を聞くことができました。
最近のインクレチン製剤の開発から、糖尿病の病態についても新たなことがわかってきており、中でもインスリン作用低下のみならずグルカゴン過剰分泌が糖尿病の病態として重要であることが明らかとなってきました。
特に印象深かったのは、河盛先生がお話になった、糖の流れを考えながら、インスリンとグルカゴンの分泌・作用から糖尿病の病態を考えていくことの重要性について、仮説を交えながらではありましたが非常に納得をさせられました。
我々は臨床では末梢血の採血でものを考えざるを得ないのですが、実際の体のなかでは門脈レベルで腸から吸収された血糖とβ細胞からのインスリン、α細胞からのグルカゴンが肝臓に流れ込み、糖新生・解糖系を調節していることを考える必要がある。糖尿病はインスリンの作用不足のみならずグルカゴンの過剰分泌も重要であるというBihormonal theoryを提唱されていました。
DPP4阻害薬などのインクレチン関連薬の臨床使用が可能となり、グルカゴン分泌を抑制することが可能となってから、これまで日の目を見ていなかったグルカゴンに注目が集まってきています。
我々ももっとグルカゴン分泌について意識しながら臨床を進めていく時代になってきているのかもしれません。
いずれにしても、まだまだ糖尿病の病態を解明するということは奥が深く、我々がもっと研究を積み重ねていく必要があること感じました。
写真は40周年を祝うクリスマスツリーです。
懇親会では参加された全国の約600名の医師とその関係者でおそらく1000人はいたんじゃないでしょうか、非常に賑わった会で楽しかったです。