8月11日
先日、東京で開かれました循環器内科と代謝内科の先生方の研究会に参加してきました。
2009年末に日本でも発売が開始になった抗糖尿病薬のインクレチン関連薬の心血管への影響を議論する研究会で、半分が心臓血管を専門とした先生方で、もう半分が糖尿病を専門とした先生方でのclosedの会でした。
特に、DPP-4阻害薬は長期的な安全性はまだ未確定ながらも、現時点での使用経験では副作用もすくなく非常に使い勝手のよい薬剤であり、糖尿病の非専門医の先生方も多用しておられます。
DPP-4阻害薬は非常に使いやすく、血糖改善効果もある程度あるので、当院でも多用されており、日本ではすでに7剤のDPP-4阻害薬が市場にでています。
今後はどのDPP-4阻害薬をどういった患者さんに使用するかなどの薬剤間の特徴などが注目されることになるでしょうか。
そんな中、循環器内科の先生方はインクレチンの動脈硬化、心機能への影響に注目をしており、
国立循環器病研究センター臨床研究部・心臓血管内科の北風政史先生は、インクレチンは糖尿病代謝の専門家に発見されたので糖尿病薬として開発されたが、もし循環器の研究者が発見していたら抗動脈硬化薬としての開発がなされていただろうと、言われていました。
それだけ、インクレチン関連薬の抗動脈硬化作用には期待が大きいようです。
動物実験を含めた基礎研究では、インクレチン(特にGLP-1)の動脈硬化形成抑制作用や心機能改善(線維化抑制)作用は明らかとなっており、今後はヒトにおいても同様の影響があるか否かをはっきりさせることが重要となるでしょう。