関節リウマチ&骨粗鬆症オンラインミーティング

こんにちは!
みなさんは関節リウマチ(RA)という病気をご存じでしょうか?
先日、山陰地区でRAを診ておられる先生方を中心のオンラインミーティングで、RA患者さんの骨粗鬆症について講演をしたので、ブログにもアップしますね。

とにかく、RA患者さんの骨折リスクは高い!
なので、積極的な骨粗鬆症対策が必要です。



まずRAってどんな病気?



RAは関節内に慢性の炎症を生じる疾患で、進行すると関節が破壊され様々な程度の機能障害を引き起こします。

症状

関節リウマチの手の変形 関節リウマチの手の変形 関節リウマチの足の変形 関節リウマチの足の変形

初期症状として、両方の手や足の指の関節が対称的に腫れて、とくに朝の「こわばり」が特徴的です。人によっては膝や股関節などの大きな関節にも病変が進み、日常生活が難しくなることもしばしばあります。
どの年代でもおこり得ますが、特に30~40歳代の女性に多いようです。



なぜRAでは骨折リスクが高くなる?

RAは関節の病気なのですが、なぜ骨粗鬆症・骨折のリスクが上がるのでしょうか?
RAでは関節で起こる局所の炎症が、実は全身にも影響することが知られています。特に炎症関節から全身へ放出される炎症性サイトカインやRANKL(破骨細胞を活性化する)が、炎症関節の近傍の骨だけではなく、全身の骨にも影響し、全身性の骨粗鬆症を引き起こしてしまいます。

エール君
エール君

RAによる骨粗鬆症の特徴は骨吸収が亢進することです

RA患者ではほぼすべての骨の骨折リスクが上昇しますが、大腿骨や椎体の骨折が起こると、極端に生活の質が低下してしまいます。関節の炎症で苦しむだけでなく、骨折も起こってしまうのは、なんとしても避けたい!と強く思います。想像しただけでも胸が締め付けられる思いがしてしまいます。


RA治療の発展は目覚ましいものがあり、様々な生物製剤が使用できるようになってから症状の緩和が期待できるようになりました。骨粗鬆症の治療薬でもあるデノスマブがRAによる関節の骨びらん進行を抑制することも明らかとなりました。しかしながら、RAによる治療が奏効しても骨折リスクが高いままの患者さんも多くおられます。

エール君
エール君

まず、RA患者さんでは骨粗鬆症のスクリーニング検査を受けることが大切ですね

特に以下は骨折リスクと関連するので、積極的に検査・治療を受けることをお勧めします。

1)RA治療のためにステロイドを内服されている方
2)関節障害により活動性が低下している方(転倒リスクが高い方)
3)女性
4)高齢
5)RA治療をしてもRA自体の活動性が高い方
6)ビタミンD不足

RA患者さんではステロイドを用いないと症状が緩和しない方も多いのですが、ステロイドにより骨粗鬆症が引き起こされることはよく知られています。ステロイド性骨粗鬆症の管理と治療ガイドラインがあり、治療介入の流れが発表されています。


RAによる骨粗鬆症の主な病態は破骨細胞による骨吸収亢進なので、基本的には骨吸収抑制薬が治療の中心になります。ビスホスホネート、デノスマブが代表薬になりますが、テリパラチドの有用性も報告されています。また、RA患者の骨粗鬆症は重症骨粗鬆症であることも多く、ロモソズマブの有効性についても期待されます(今後のデータの蓄積が必要です)。

デノスマブ、テリパラチド、ロモソズマブについては、骨密度が十分にあがったとしても継続した治療が必要です。これらの薬剤は投与終了後から急速に骨密度が低下して、骨折リスクが上昇してしまうことがあるからです。

また、RA患者ではビタミンD不足・欠乏が多いことも報告されていますので、積極的にビタミンDを充足させる生活習慣も大切ですね。ビタミンDについては、またの機会にブログを書きたいと思います。


エール君
エール君

ビタミンDをとるために、青魚、干しシイタケなどの食事、日光浴が重要です!

聴講していただいた先生からは、薬剤の使用方法やどのくらい治療を継続するのか?
テリパラチドによる腰痛についての影響は?
骨吸収抑制薬が長期投与になってしまう際の、顎骨壊死の対策は?
内科と整形外科の連携を密にするための具体策は?特に内科の先生が骨粗鬆症の治療をするためにはどうすれば?
などなど
質問や困っていることについてディスカッションをしました。
こういったことについても、またブログで書きたいと思います。

骨粗鬆症は併存疾患の有無によってもリスクや治療方針が異なります。
特に、今回のRAでは骨折リスクが高いので、主治医の先生と是非相談して対策を立てる必要がありますね。

骨粗鬆症による骨折を予防して、
明るい未来を作りたいですね!

金沢一平 糖尿病と骨粗しょう症専門医からの提案