Incretin Online Seminar in 栃木

2021年11月5日(金)

独協医科大学日光医療センター糖尿病・内分泌内科准教授の中谷祐己先生に座長をしていただき、糖尿病とインクレチン関連薬、特にGLP-1受容体作動薬の使い方についてお話をいたしました。

中谷先生、ありがとうございました!

糖尿病・内分泌内科 | 獨協医科大学日光医療センター (dokkyomed.ac.jp)

どうする?糖尿病治療の次の一手~GLP-1製剤の位置づけと使い分け~

案内状

今回は栃木県日光市の先生方を中心にファースト・インジェクションとしてのGLP-1製剤の有用性についてお話をさせていただきました。

 

 

ファースト・インジェクションというのは患者さんが最初に使い始める注射薬のことで、糖尿病領域ではインスリンとGLP-1製剤の2クラスがあります。

エール君
エール君

インスリン注射は非常に重要な治療薬であり、特に内因性インスリン分泌が低下してしまった患者さんではインスリンでなければ血糖を下げることができないことがしばしばあります。

一方、GLP-1製剤を含むインクレチン関連薬は基本的に膵臓の内分泌機能が保たれていなければ効果が弱くなります。したがって、インクレチン関連薬はインスリン分泌がまだ保たれている、すなわちインスリン治療でなければならない状態になる前の段階で有効な薬剤となります。

なので、GLP-1製剤は使うタイミングが遅くなりすぎると効果が期待できないということになります(涙)

エール君
エール君

実際に、日本人を対象とした研究で、インスリン分泌が低下した患者にGLP-1製剤を投与してもコントロールが難しいという報告があります。

GLP-1には血糖依存的な血糖低下作用があることが良く知られています。すなわち、血糖値が高い時にはインスリン分泌を促進し、血糖が低い時にはインスリン分泌促進効果が発揮されないというとても便利な作用です。

 

インスリンは血糖“非”依存的に、用量依存的に血糖値を下げてしまいますので、丁寧に用量調整をしなければならない薬剤です。したがって、非専門の先生には少しハードルが上がってしまうため、インスリン注射が必要になってしまった場合に専門医へ紹介する先生方もおられます。

 

一方、GLP-1製剤は注射薬ですが、用量の調整が必要のない薬剤もあり、かつ低血糖のリスクが少ないので、小まめな調整は必要ありません。

 

注射製剤のことを知ると、無理に内服薬にこだわって血糖コントロールがうまくいかなかった患者さんや、合併症リスクの高い患者さん、体重のコントロールもしたい患者さん、一日何度も飲むお薬を忘れがちな患者さん、いろんな患者さんのメディカルニーズに応えることができるのです。

薬剤の適応を考えるときに、しばしば医療者の目線で適応を考えてしまいがち(ポジショニング)ですが、患者さんの立場にたって投薬を考えるというパーセプションの考え方も重要です。

GLP-1製剤について、もっと知りたい!

GLP-1製剤の使い方について、もっと知りたい!

GLP-1製剤の使い分けについて、もっと知りたい!

そんな先生方の少しでもお役に立てるように、これからも講演活動を続けていきたいと思います!

金沢一平 糖尿病と骨粗しょう症専門医からの提案